Finally it's coming together

August 17, 2015

サラリーマンを主役にしたぬりえ本を作ることにした。

超シンプルでかわいいアイディアに見えるでしょ。

 

でもここまで来るのに超時間かかったんだぜ。

 

前から描き溜めていたサラリーマンの絵。

電車の中で隙を狙って描いてた。そのためほとんど寝ている表情やポーズ。でもそれがいいんだよね。

日本の高度経済成長期を可能にしたサラリーマン。私のおじいちゃんは(父方も母方も)最初に入社した会社で終身雇用。二人とも本当に文句一つ言わずに家族のために働いて、無事に定年退職した。(そんな私は定職に就いたことがなく日本の終身雇用のシステムも、仕事に身を捧げることにも共感・賛同できないけど)

サラリーマンは私にとって興味深い存在だった。サラリーマンは毎日「何」をしているんだろう。この電車を120%定員オーバーになるまで押し詰めて毎日通勤して、1日8時間、週5日働かないといけない大事な仕事とは一体なんだろう。

 

今はもう高度経済成長期ではないし、その頃の働き方はもう通用しないし、そもそも望んでいないんじゃない?心の底では。おそらくみんな文句はあるだろうし、労働と対価、生活習慣、価値観に疑問すら抱いているのだろうけど、未だに概ね昔と変わらない働き方や価値観を虐げられている。

・・・様に見える「サラリーマン」。

サラリーマンは会社の規定や風潮に従うことが必然である。それを40年も続けていれば自己はすり減る。自己がなければ他の人間とも関係が希薄になる。それは家族に対してもそう。もっとも、家族と会う時間があればだけど。(余談だけど、母の同僚の医者は病院で寝泊まりするからたまさか家に戻ると子供に「楽しかったね。おじさん、また来てね〜」と言われる始末。マザーテレサの言った「世界のために何かしたいのなら家に帰って家族を愛しないさい」という言葉がズシんとくる)

 

サラリーマンを連日電車でみて、描いていたら何かちゃんとした作品に転換したくなった。

最初は単純に素描をシルクスクリーンで大量生産しようかなって思った。でもなんかパンチがないなって思って、制作当時滞在していたスペインのアトリエの講師やアーティスト友達に相談した。私の「日本のサラリーマン」の話を聞くとみんな「深刻な問題ね」と言ってた。そう、確かに深刻。だけど悲観的な作品が作りたいわけではない。解決策とまでは言わずとも、なにか明るい視点や方向性を見いだせたらとは思う。そこで「もう少しユーモアを加えたらどうなる?」って言われた。ユーモア・・・難しいな。私は生真面目だから(自分で一番嫌な部分)。その後の会話の順番は忘れたけど「面白いといえば、私はたまに電車の中で他人の聴いているかもしれない音楽を勝手に想像するんだよね。あのおじさん実はヘビメタなんじゃないか、あの主婦はK-POP聴いてるんじゃないかって。」って言う所から「じゃあ吹き出し加えてコミックっぽくしてみたら?」という提案が出て。

 そして左の絵のような感じにテキトーにいい感じの文字を添えてみた。流行語とか。写真の文はモー娘。の大ヒット「LOVEマシーン」の強烈な歌詞:「日本の未来は世界が羨む」羨まれるどころか時代は最早中国だし、モー娘。もAKB48に追いやられた皮肉がたまらなく面白かった。だけどその面白さが周りにいたヨーロッパの友達や講師に伝わるはずもなく一人でニヤニヤしてたら飽きた。

飽きてしまったら焦ったのでまた周りのアーティストに相談した。生真面目な私は来る日も来る日もいいまとめ方を探って、アトリエには一番のり、帰るのも一番最後というなんとも「日本人」な行動を取っていてしまってた。自分の一番嫌いな「残業」をしていた。別にやってもやらなくても一緒のような「残業」を。時間を費やしてる=がんばってる=報われるはずの「残業」を。

少し時間を置いて同時進行で制作してた別の作品に集中した。そうこうしいてたら今度は「切り抜き」はどうかとおもった。これも周りと話した結果で「この人間同士の塊、多分形としてでも伝わるし、形として捉えてみたら?」って言われたから。そこからできたのが「切り抜きx文字」の右の様なもの。これも一時は面白いとおもったものの、すぐまた飽きた。というかやはり素描あっての作品だったことに気づいたので、絵を活かしたかった。ZINE(冊子)形式が一番いい気がするってとこまではたどり着いたけど結局スペインにいる間はいい考えは浮かばず帰国してからもしばらく手をつけなかった。

でも絶対絶対これはいつか形にしたい!特にこの記事を読んでからは本当に日本の労働とかそれに対しての美徳(?)について考える点が明白になって、より一層「サラリーマン」をテーマにした作品を作りたかった。

そんな思いの中、再びこの絵を引っ張り出した。どっからはじめたらいいのかわからないままとりあえず試作用に絵をコピー機で何枚かコピーした。そして、あるサラリーマンの絵が4枚コピーがあったので、それぞれをKISSのメンバーに扮した絵を描いた。そしたら「これだ!」っておもった。

このラクガキしてる様な感覚、好きに想像してもいい開放感。決してサラリーマンを貶しているわけではなく、本来では「サラリーマン」というのはアイデンティティーのほんの一部であって、それ以外の個性やキャラがみたい!他人が一体どんな音楽を聴いているのか気になるのかは、there is more than meets the eye(人は見かけによらない)っておもっているからこそ。「サラリーマンA」で終わってたまるか!趣味も家族も思い出も感情も未来も希望もある人間。

なーんだじゃあ簡単じゃん。ぬりえだよ、ぬりえ。もともとあった素描は細い線で描かれていて、尚且つ周りが空白になっている。だから冊子にするのであれば、無理して「完成」させず、手に取る側が自分で手を加えて完成させる「ぬりえ」形式がいい。そうすることで私の視点でのサラリーマンだけではなく、手に取る側もサラリーマン、並びに仕事や労働を見つめ直す機会になる(といいな)。日本も少しずつ変わってきてる。特に若い世代では働きすぎて過労死でもしたら人生本末転倒だって気付き始めてる人は増えてる。ぬりえをやりながらそれぞれで「こんなサラリーマンいたらおもしろいよね」「サラリーマンって本当はこんな感じなのかも」って描いてるうちに、「こんな人がいたらおもしろい」「こんな働き方があってもいい」「こんな生き方があってもいい」という考えも増えていけばいいな。

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